フルコンタクトKARATEマガジン vol.29 2018年8月号

INTERVIEW 内弟子・岩間真太郎&寮生・アンドラ井ルイスが語る!
小沢隆禅道会主席師範、技の重さが異質

内弟子・岩間真太郎&寮生・アンドラ井ルイスが語る!小沢隆禅道会主席師範、技の重さが異質

小沢隆主席師範が禅道会の稽古体系を生み出し、それを体現していく姿を内弟子として目の当たりにしていた岩間真太郎(空手禅道会 総本部直轄広島山口支部支部長)、禅道会の看板を背負って、現役の総合選手として他団体でも戦うアンドラ井ルイスに話を聞いた。

※技術に関する参考動画 http://karate7.com

――小沢首席師範の第一印象は?
岩間私は高校生から空手を始めたのですが、当時小沢首席師範は某総合系空手団体長野県支部で茶帯でした。確か24歳だったと思います。

薄暗い小学校の体育館で共に稽市したのですが、初心者の座学講習では「武道をしていると脳幹から情報が引き出されて技が磨かれる」と話したりして、他の先生とは少し違うなあと感じていました。相撲も強かったですね。

その後、私は19歳から10年間内弟子として、小沢首席師範についていたのですが、武道のみならず、文化や歴史、宗教など様々な話を聞かせて頂きました。

ルイス私が小沢首席師範に初めてお会いしたのは 1999年に開催された少年大会でした。

当時は当てない空手をやっていたのですが、「何でもありの大会がある」と一言われ、「自分の強さを試したい」と考え出場しました。

良い結果は残せなかったのですが、会場で小沢首席師範と出会って、禅道会の技術の素晴らしきを知り、16歳の時に寮生となりました。

それから 3年と11カ月、小沢先生の傍で技術と精神を学ぶ機会を得ました。

――内弟子時代の思い出を教えてください。
岩間若き日の小沢首席師範が道場に入ってくると空気が変わり、緊張感が張り詰めました。

職人的な感じで、ミットの持ち方(角度や力の入れ具合)が 1ミリでも狂うと叱責されました。スパーでも、目から火花が出るほとの肘打ちをもらったりして何十回も倒されましたね。

廻し蹴りでは骨折することはなかったのですが、ガードの上から蹴られても、腕がしびれ、効かなくなりました(写真A1 は取材中にも肘を破壊された岩間支部長)

ローキックもカットしても受けた脛が痛くなり、前蹴りも捌いた私自身が持っていかれたり…(写真A2~6は受けてからの腹固め)。

他の人ならば、100キロあっても上手くさばけるのですが、小沢首席師範だとそうはいかない。今の現役選手も頑張っていますが、技の重さが異質でした。

ルイス私も鉄の鞭のような一撃を何度ももらいました(写真B1参照)。内部に浸透した場合は一か月程度痛みが引きませんでした。

小沢首席師範のシャドーや基本稽古、移動を目に焼き付け、その謎を解こうと思ったのですが、未だによくわかりません。推察すると、腹式呼吸、脱力、基本稽古の積み重ねではないでしょうか。

――小沢首席師範の重い打撃の秘密は?
岩間ルイスの言う通り、答えは呼吸法にあると思います。

まずは呼吸法によって、基礎呼吸力を高めます(写真C1~3は長く深い息吹 / 4は細かく呼吸を行っている)。

ポイントは、丹田と眉聞を意識、拳を強く握らない、圧縮して吐き切る。などです。

これを続けることによって、パラパラだった体のパーツが一つになり、体幹の力の使い方が分かってきます。

次に空手の動きに呼吸を合わせていけば、重い打撃となります(写真C5~6は膝廻し蹴りの一例)。

安定した呼吸により、不安・緊張が解消され、集中力も増します。

ルイス呼吸によって、体を一つにまとめることができれば、インパクトの距離も調整可能です。途中であっても痛いし、距離自体を伸ばすこともできます。

ツーステップを使えば、出所を分からなくなるため、さらに効果的です(写真D1~5は下段を蹴る小沢首席師範)。

また、一体化ができていると、攻撃だけでなく、打たれ強さも高まります(写真D6はローキックも平気な小沢首席師範)。

私は現在、総合やキックを中心に戦っていますが、一時期打撃によるノックアウト負けが続きました。

しかし、小沢首席師範から呼吸法と体を一つにすること学んだ結果、打撃に対する耐久性が増しました。オデコで受けたら、2回も対戦相手の拳の骨を粉砕し、ダイヤモンドヘッドという異名が付きました(笑)。

――他に何かありますか?
ルイス小沢首席師範から組技や関節技も数多く学びました。

特に正確で美しい絞めが印象に残っています。小沢首席師範の絞めは針で刺すような、ピンポイントのような絞めであり、動いたら、落ちる…という感じです。

「背後からの絞めは、隙間をなくすこと(写真E1参照)。そのためにも自分の体幹を近づけ、ちょっとした移動で締める」というアドバイスを頂きました。

スピニングチョーク(写真E2~10参照)やペルピアン・ネクタイなども小沢首席師範に教えていただきました。

今後も小沢先生から技を盗み、記念すべき第20回RF大会でも試合で活躍したいと思います。

岩間小沢首席師範は現在57歳 (1961年生)なのに、老いることなく、故障も少なく、技自体が向上している。特に護身性、リアルの部分で動けるのは、生涯武道として追及していける体系を禅道会が有していることの証明ではないでしょうか。護身という観念の追及が心を収めることにもつながるので、自立支援施設のディヤーナ国際学園のような社会貢献の方向性も生まれてくるんでしょうね。今後も深化し続ける小沢首席師範の背中を追い続けたいと思います。
  • LINEで送る
  • はてなブックマーク
  • アイターミナル