“キャッチ・アズ・キャッチ・キャン” [特別対談/後編]

ランカシャーレスリングの神髄は構えと歩法
[特別対談/後編] 宮戸優光

キャッチ・アズ・キャッチ・キャン [特別対談/後編]

日本武道総合格闘技連盟、ディヤーナ国際学園を主催し、武道の観点から、ひきこもりやニート、家庭内暴力など、心の問題を抱える青少年の自立再生を支援している禅道会の小沢隆代表が十代の頃、某フルコン系空手道場で同時期に汗を流していた宮戸優光氏(UEFスネークピットジャパン)に空手とレスリングの共通点について、前号に続き、話を聞いた。

Q. 宮戸先生は昔の武道の達人の如く、相手に逆らわず、逆にその力を利用する動きも卓越していますね。またいかなるときも軸が崩れない。力任せに何かやろうとすると、軸が歪み、身体を振り回す感じになり、上手く行きません。逆に軸を立てていれば、方向が読まれにくくなり、上手くいきます。
恐縮です(笑)。
姿勢が悪いと、軸がずれ、回転に歪みが出てしまいますからね。
そのため、技にいっても返される可能性が高まります。
逆に姿勢を正し、足の親指を中心としたピボットを用いれば(写真E1~2は左足を軸に時計回りで90度回転)、ステップの動きがそのまま投げにも使えます(写真E3~8は応用例)。

Q. ピボットに関しても禅道会と同じですね。姿勢を整え、捻らない動きを使い、振り出しの瞬間に呼吸を合わせれば、浸透する打撃となります(写真F1~3参照)。
時として、心臓まで威力が届きます。
ローキックに関しても、大きなモーションをつけなくても正しい姿勢、下丹田の力を使えば、威力は浸透していきます(写真F4~5参照)。当然、虚実を使うことで威力も増します。
相手に察知されない分、さらに効きますね。
虚実に関しては、私が31歳の頃、ビル・ロビンソン先生の師匠であるビリー・ジョイス師と出会いました。カール・ゴッチさんやロビンソン先生まで子供扱いしていたという伝説の人物です。
彼に初めてお会いしたときのことです。ジョイス師が握手しようと差し出された手を私が握ろうとした瞬間、その彼の手がパッと消えてしまい、握手が空ぶってしまったと思ったら、私の太ももの内側を叩かれたのです。まるで手品のようにも感じる技でしたが、こうした虚実も使い分けることができれば、体格差や力で勝る相手にも対抗することは十分可能だと思いました。
また、ビル・ロビンソン先生も「レスリングはフィジカル・チェス。力やスピードで相手を制するのではなく、技と戦術で相手の心と体を支配するのだ」と言っていました。
私も現在、不必要なウエイト・トレーニングは控え、ナチュラルな体(心も含む)をいかに作るかを考えています。

Q. 構えとステップの話だけでも、古式のレスリングは奥が深い技術と精神が備わっていることが分かりました。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
技術に関しては手首を掴む、そんな単純なコントロールから様々なものがあります。
レスリングは裸ですから、相手を掴むときも、滑りにくい部位などを引っ掛けるように掴みます(写真G1~3は指を掴んだ例)。
限られた誌面で全てを紹介するのは不可能ですので、興味のある方は拙著「プロレスの教科書“人間風車”ビル・ロビンソン直伝“蛇の穴”のレスリング キャッチ アズ キャッチ キャン スキルブック(週刊プロレスSPECIAL)」を参考にして下さい。
また東京都の高円寺にあるU.W.F.スネークピットジャパンは、レスラー養成だけではなく、年齢・男女を問わず一般に開放されたスポーツ格闘技ジムです。体力作りや健康管理が目的の初心者も会員になれます。
ビリー・ロビンソン直伝のレスリングは、パワーだけでなく知識と技術と戦術で相手を追い込み、コントロールすることができます。ぜひ体験しに来てください!

対談を終えて