青少年健全育成に向けて

教育荒廃が叫ばれる昨今、連日のように耳を疑うような凶悪犯罪が新聞紙面を飾らぬ日はありません。

また、それら犯罪の低年齢化などを見ましても、来るべき21世紀を迎えるにあたり、教育問題こそ最も重要な問題ではないでしょうか。

私どもは、論理観の喪失など現代青少年の問題点は、自らの心の弱さを省みる感性を失ってきたことに根本的な原因があるのではと思っております。

現在の一般的な青少年にとって、いかに苦労せず物質的豊さを手に入れるかが価値基準のように見受けられます。しかし、そのような価値観が青少年らしい豊かな感性に裏打ちされたものであろうはずがありません。

今こそ、心の教育、礼に始まり礼に終わる礼節の教育が必要なときではないでしょうか。私どもと致しましては、武道空手道を通じまして、青少年の健全育成に今後もなお一層、全力を尽くす所存であります。

また、空手道禅道会には、国際クラスの選手が多数在籍しており、格闘技メディアにもたびたび取り上げられております。

世界に冠たる日本の武道文化の優秀性を示すために、これからも世界の格闘家達との国際試合も予定されており、皆様方には世界に挑む心意気にも大いなるご声援をお願いさせていただきます。

武道教育の意義

1.礼儀

空手道は「押忍」と言う非日常的な返事をします。これによって、日常の子どもとしての甘えを切り離し、武道を志す一人の人間としての立場を自覚させ、向上心を持って稽古に励めるようになります。

また、道場では先に入門している者や級の上の者を敬う事を教えます。これによって、社会生活を営む人間としての自分のあり方を子どもながらに把握することになります。

これらのことは、将来的に「社会性」を身につける上での基礎になります。また、社会的に最低限のルールを守る「感性」を育てる上で、必要不可欠なものだと思います。

2.情操教育

「武道空手道」の試合では、実際に突き蹴りを当てるため、多少の「痛み」と「恐怖心」を感じます。

その痛みや恐怖心に負けずに闘い抜くことによって、困難があってもへこたれない「精神力」や「忍耐力」、困難を克服した「達成感」、人の痛みがわかる「優しさ」などを身につけることができると思います。

3.少ないゲーム性

「武道空手道」の場合は、球技などに比べて極端にゲーム性が少なく、遊びの部分も少ないと思います。

もちろん、遊びを否定するわけではありません。しかしながら、TVゲームなどの様々な遊びが蔓延している現代において、単純な動作を繰り返す稽古をしていく中で、長い意味で上達して成果を出していく「充実感」を教えます。

これは、昨今の青少年に足りないと言われる「忍耐力」を身につけるのに最適だと感じます。

4.文化性

「武道」は日本文化独自のものであり、歴史の流れの中で形を変えつつも世代を越えて継承されてきたものです。

しかし、日本からこの「文化の継承」が失われてから、年上の者や両親、先生を敬わない若者が増えたのではないでしょうか。年長者は、肉体的に見れば若者より劣る面もありますが、社会生活の経験と技術を若者に教え伝えていく立場にあるはずです。

その意味でも、日本の偉大な文化である「武道文化」を少年達に伝え、年長者に当たりまえの尊重感を持たせていくことは、大切なことだと感じています。

5.道徳性

「武道空手道」で言う「道徳性」は言葉で教えることもしますが、それだけではありません。稽古を通して1~4で取り上げた事を体験的に継続していきます。その努力によって、「武道空手道」を志す「自覚」が生まれ、武道人としての「美意識」が芽生えていきます。

その「美意識」が、犯罪を犯す可能性のある少年や、道を踏み外す要素を持つ少年をぎりぎりのところで思いとどまらせてくれることになっていると思います。

そして、実際に我が「空手道 禅道会」には、不登校の少年が登校するようになった事例や、手の着けられなかった非行少年が更生した事例が、数多くあります。

最後に

様々な情報が飛びかい、体感的に物事を感じ取りにくくなっている現代こそ、私ども空手道の指導者は、「武道空手道」を通した教育が大切でないかと感じ取るとともに、なお一層の努力を重ねていかなければならないと思っております。

保護者の皆様におかれましては、武道空手教育の趣旨をご理解いただければ幸いと存じます。